New Yorkには世界中から様々な理由で人間が集まって来ます。私達のように音楽を勉強する人、ダンスや絵画、デザイン等を専攻する人、俳優になりたい人、カメラマン、仕事が欲しい人、旅行者。だから町はいろんな言葉、いろんな顔で溢れています。それだけでも十分刺激的な上、世界でも指折のオペラ劇場、オーケストラ、美術館、ミュージカル劇場、バレエ団等が密集していて、演奏会のシーズンになると、どれに行くべきか困ってしまうほどです。
チャイナ・タウンへ行けば香港のように狭い通りに人と物が溢れ、5番街に行けば世界の最高級品が並び、ソーホーと呼ばれるダウンタウンの地域には画廊が数え切れないほどあり、ウォール街では世界の経済を見張る何万もの目がある。これだけ見ると慌ただしくて疲れちゃいそうですが、なんといってもNew Yorkの魅力はその慌ただしさを忘れさせてくれる巨大なセントラル・パークにあるのです。


 キングコングも登ったエンパイヤーステート・ビルディングからセントラル・パークを眺めるとNew Yorkの脅威を感じます。とにかく広い。東西に800メートル、南北に4キロ。『2度と同じ道を歩けない』ほど広いのです。動物園やスケートリンクもあるこの公園が出来たのは150年近く前、ドボルジャークもまだアメリカに来る前です。その公園が世界で1番とも言われる巨大都市になった今でも残っているなんてスゴイです。この南端の1部分でも売ったら儲かるだろうに、なんて思ってしまう私はやっぱり日本人だなぁ・・・

 魅力その2は、私の大好きなメトロポリタン・オペラ!!!今年も引っ越し公演は日本を沸き立たせましたが、私も過去2回、新幹線に乗って聞きに行ったことがあります。本当にメトって素晴しい。
メトロポリタンの劇場はニューヨーク・フィルの本拠地エイブリーフィッシャー・ホールとシティ・オペラの本拠地ニューヨーク州立劇場が建ち並ぶリンカーンセンターにあり、中央の噴水に面して3つのホールがコの字型に向き合っています。『コ』の字の縦線部分がもちろんメトロポリタン・オペラです。東向きに建っているので午前中はカーテンの裏に隠れているのですが、夜になるとこのカーテンが開き2枚のシャガールの絵が観客を迎えます。正装している人もジーンズで来る立ち見席の学生も一斉に赤いカーペットの上を自分の席へと急ぎます。ごった返す人の海の中、エレベーターがなかなか来ないのはイライラしますが、期待で胸の鼓動が高まります。私のように、安く沢山の演目をみたい人は『Standing Room』です。1階($15)と最上階($11)にあり、1階は舞台の奥まで見えていいのですがすぐ頭上に天井があり、最上階は少し舞台の奥が見えません。オーケストラ・ピットは見えるので私はほとんど最上階です。この最上階のStanding Roomには常連さんがたくさんいて、ポットにコーヒーを入れてきているおじいさんや、かかとの高いスリッパに履き代えて見るおばあさんは、私が週に1度出かけるのですが、いつもいるので驚きです。

 シーズンが始まって間もない頃は比較的席が空いている事もありますが、人気歌手の場合は超満員です。でも、1度素晴しい幸運に恵まれたことがあるのです。ドミンゴがアルヴァーロを歌う『運命の力』のプレミアで運よく1階立ち見席の3列目、最後の2枚を手に入れ、ウキウキ出かけたのです。1幕が終わり、前の人で見にくかったけれど『それでも幸せ』とニコニコ立っていたら、タキシードを着たおじさんが手に2枚チケットをひらひらさせて、『帰るからここに座って観なさい』(もちろん英語よ)とくれたのです。座れるだけでも有難い、と席を探すと・・・なんと前から10列目のド真ん中。あんなに大きく舞台を見たのは最初で最後です。後で、友達に自慢したところ、結構あることだそうです。

 今年のメトの演目はワーグナーやリヒャルト・シュトラウスの作品が多く、楽しみです。日本ではなかなか観る機会の無いブリテンのオペラもすごく面白いし、早くシーズンが始まるといいのになぁ。

今回は私が見たNew Yorkの魅力を書いてみました。今度は、私達の留学のきっかけとなったAspen Music Festivalについて書きましょう。アメリカで最も大きな、夏の音楽祭です。

それでは、また今度。

Katura