New York / America 、大学・大学院への留学

New YorkまたはAmericaへの留学を考えている方、是非ご一読下さい。
ヨーロッパへの留学を考えている方もご参考に。


 英語と日本語、そして音楽 − アメリカ音楽留学・第2回 


New Yorkのストリート・フェア
 アメリカへやって来て、まず苦労したことの1つは、チューニング。もちろん他にもありますが、弦楽器奏者にとってこれは重大です。そして日本人の誰もが初めに何度か失敗している場面の1つです。なぜって?

 『give me your エー』と言われて、あなたならどの音を弾きますか? 思わず『ホ音』を弾いてしまうのではないでしょうか? しかも堂々と。相手に変な顔で見られてやっと気付くなんて事、たぶんあると思います。

 日本では楽譜を歌うときはイタリア語、音符を読み上げるときはドイツ語、楽語はイタリア語、練習番号は英語で読んで、調性は時々日本語で読んだり、ドイツ語で読んだり、まちまちです。理論の勉強をするときは、大抵日本語かしら?『長三和音』とか使いますものね。作曲家の名前はなるべく作曲家の活躍した土地の呼び名を真似て呼ぶことになっていますが、楽器の名前は全く統一していません(これについてはとっても気になっているのです)。


 さて、アメリカでは反対に何でも英語で読みます。間違っても『アウフタクトが・・・』なんて言わないことです。恐らく全く通じないか、ドイツ語でベラベラ話しかけられるかのどちらかです。また、私達の馴染みの深いバッハもアメリカでは『バック』なんて呼ばれていますが、驚かないように!
 
 言葉を比較する上での面白い例があります。日本では『◯◯先生に師事しています』と言いますが、アメリカでは
『I study with Mr/Ms.◯◯』という表現の仕方しかありません。推薦状を書いてもらっても『He/She studies with me』です。それぞれの国の『学ぶ』というシステムの在り方を象徴していると思いませんか? 日本では教師と学生は上下の関係をはっきりさせていますが、アメリカでは横に並んだ関係のことが多いです。学生が先生をファースト・ネームで呼ぶことも結構普通です。私はまだこの習慣には馴染めきれませんが、友達を見ていると少し羨ましくなります。時々意見を戦わせている教師と学生を見ると、ちょっぴり行き過ぎているように思う事もありますが、これがアメリカなのかもしれません。自分の考えを持つことが何より大切なのです。

 また、ある先生が言ったことですが、日本人の学生は『コーヒーとお茶とどちらが好きか』と尋ねると、ほとんどが『コーヒーの方が好きですけど』と語尾を濁す。アメリカ人の学生は『コーヒーです』ときっぱり答える。2人の学生を並べて聞いてみると、音楽にもそれが表われている。と言うのです。

 音楽には言葉は必要ない、と言われますが、どちらも何かを『伝える』という行為であるからには、通じるところがあるのかもしれません。それならば、日本語以外の多くの言語を学ぶことで、さまざまな音楽性を持つことが出来るかもしれない、と思うのは私だけでしょうか? そこに異国で学ぶことの真意があるのかもしれません。

 話は変りますが、トロンボーンとバスーンはドイツ語と英語で全く呼び方が異なります。トロンボーンはあまり問題ないのですが、バスーンの場合は大問題です。なぜなら英語の『ファゴット』ってオカマの事なのです。
『I play ファゴット』なんて言っちゃ駄目ですよ。
『I like ファゴット』もヤバいかな。


楽器の呼び名について

ストリート・フェアは今週くらいから2週間毎に、New Yorkを縦に走るアベニューで次々に行われる予定です。規模は約4キロ。20ブロックにも及びます。お洒落なものから、どうでもよい物まで、幅広くあります。そして、スシはやっぱりここでも人気物。


シティ・オペラのロビー
 言葉の事についての話題でしたので、最後に日頃気になっている楽器の呼び名について少し書かせてください。これを読んで下さった方々だけでも、気にして下されば嬉しいです。

 先に書いた通り、日本では楽器名について盲点となっています。たとえば、日本語で一般的に呼ばれているのをあげると、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、トランペット、トロンボーン、テューバ、ピアノ(打楽器は省略させていただきます)ですが、イタリア語であれば、ホルンはコルノに、トランペットはトロンバになります。ドイツ語だったら、トロンボーンはポザウネに、ピアノはクラヴィーアになりますし、これが英語だと言うならば、ファゴットはバスーンに、ホルンも(わざわざ)フレンチホーンと呼ばれます。これらをスペルで書いたならば、ますます日本語の混同をはっきりさせることが出来ます。

ファゴットをバスーンにすれば、英語に統一できますが、ファゴットのままならば、クラリネットを"K"から始めるべきだし、トロンボーンやピアノも使えません。いいや、ファゴットもクラリネットも今のままだ!というならば、全部イタリア語に揃えて、トロンバと言いましょう!!!

フランス語に揃えるなら・・・もういいっか。


著者 Katura