Buon Giorno! 早いものでもう7月。夏ですね。夏といったら、海!

私は群馬の生まれで、浅間だの、赤城だの、榛名だの、山ばかり見て育ったので、海にとっても憧れてしまうのです。ピサには、河も山も、そしてもちろん海もあって、自然にはとても恵まれた町だと思います。

 数週間前、夜 寝ているとふと目が覚め、部屋の中で光るものを見ました。寝ぼけまなこの私は”ひとだま”か何かと思い、思わず悲鳴を上げてしまったのですが、実は、蛍だったのです。いつの間にか、部屋の中に迷い込んだ蛍が、出口を探して飛び回っていたのでした。私の今住んでいるところは、ピサの郊外なのですが、(去年の10月に引っ越したばかりですが)蛍がいーっぱいなのです。 私は恥ずかしいことに、この年になって始めて蛍を見て「わぁー、蛍って本当に光るんだぁー」と思わず感動してしまいました。


 ところで、前回ご紹介したアルノ河。この河の上流にはフィレンツェがあります。
 プッチーニのオペラ『ジャンニ・スキッキ』はフィレンツェを舞台としていますが、このオペラの中のラウレッタの有名なアリア、「O mio babbino caro」の中で歌われる「もしも私の恋がむなしいのなら、ポンテ・ベッキオに行って、アルノ河に身を投げます」のアルノ河のことなのです。ポンテ・ベッキオは橋の名前で、現在は宝飾店が両側に軒を連ね、観光客でにぎわっています。


 私ははじめてフィレンツェの町を訪れたとき、これがあのポンテ・ベッキオかと胸を躍らせ、「O mio babbino ...」を口ずさみ、その世界に浸ろうと思ったのですが、その思いは、あっという間に打ち砕かれてしまいました。昔は釣りをした、というアルノ河は茶色く濁り、(こんな河に身を投げる人なんて、今はきっといないでしょう)ポンテ・ベッキオも人混みで、とてもとても「O mio babbino」の世界とは程遠いものだったのです。

 まあ、それもそのはず。フィレンツェは今や世界的に有名な観光地ですもの。「花の都」とはよく言ったもので、どこへ行っても人、人、人、だらけでありますが、見所の多い、魅力的な町であることも事実です。




 さて、このアルノ河、ピサのルンガルノを経て海にたどり着く訳ですが、ピサの海はご紹介する程のものではないので、今回はピサから電車で北へ1時間程行ったところ、La Speziaの海をご紹介しましょう。
 La Speziaはピサとジェノヴァのだいたい中間ほどに位置した、海のたくさんあるすてきな町です。(といっても、中心街はまあごく普通の商店街なので郊外がいいのです!)そして又、私の先生の住む町でもあるのですが、そのLa Speziaの駅前からバスに揺られて終点まで行くと(30分ぐらい)、Porto Venere(ポルト・ベネレ)と呼ばれる町があります。

 ここの建物がおもしろいのです。ピンクや黄色やオレンジと、とてもカラフルで、それがまた海と妙にマッチしていて、まるでおとぎの国のような雰囲気です。そして、そこから散歩がてらに5分くらい歩くと、海に面した小高い丘にひっそりと教会が建っています。ここから眺める海も又、なかなかです。

 私は10月頃ここを訪れたのですが、人もまばらでひっそりとしていて、とても気に入りました。土地のある人は「観光シーズンも終わって、ひっそりしすぎて、好きじゃないよ」と行っていましたが、事実、観光客相手に商売している人達にとって、厳しいシーズンの到来なのでしょう。でも、人混みの好きでない私は、この”ひっそり」が風情があっていい、と思うのです。夕暮れ時に、日没の海を見つつ、ワイングラスを傾けディナー...なんて、まるで映画の1シーンのように、きっととてもロマンティックで素敵だろう、と思うのです。残念ながら、当時私はまだ独り者で、現在は小さな台風{あかちゃん}をかかえているので、どうやら想像だけで終わりそうですが...。



 ところで、La Speziaにはまだまだ素敵な海があります。地図の上では、Porto Venereよりもうちょっと先に行ったところ、しかし、Porto Venereから直接は行けないので、一度、LaSpeziaに戻りましょう。La Speziaから鈍行で1つ行くと、そこからCinque Terreと呼ばれる5つの町(集落)が海沿いに続きます。

 その5つの町とは、
Riomaggiore(リオマッジョーレ)からはじまり、
Manarola(マナローラ)、
Corniglia(コルニッリャ)、
Vernazza(ヴェルナッツァ)、
Monterosso(モンテロッソ)と呼ばれる町々で、
つまりCinquueとは”5”Terreとは”町・村・部落”を意味し、この5つの町をひっくるめてCinque Terreと呼ぶのです。






 さて、このRiomaggioreからMonterossoまで、うみに沿って遊歩道があるのです。天気の良い日、海をすぐ左手に潮騒を聞き、小鳥のさえずりを聞きながら、ここを歩くのは最高です。RiomaggioreからManarolaへ行く途中、Via dell' Amore(愛の道)と呼ばれる通りがあって、ここで恋人同士はキスをするのがならわしだとか。
 ともかく、この道を歩いて行って、それぞれの町(というか集落というか)にたどり着くと、きっと驚かれることでしょう。家々が海ぎりぎりまで建っているのですもの! 私なんて波にさらわれることはないのかなあ、などと心配してしまいました。しかし、この小さな町々と、海と、自然は本当に素敵で感動的です。一見の価値はあると思います。




 Cinque Terreの最後の町Monterossoでは、日光浴、海水浴もできるので、リュックの奥に水着をしのばせておくのも良いかもしれません。そして汗を流したあと、冷たいビールに海の幸がきっとおいしいことでしょう。
 ゆっくり歩いても、もちろん途中で休み休み歩いても、RiomaggioreからMonterossoまで1日あれば十分ですが、途中、海の見えるどこかの町で宿をとるのもよし、また、ちょっと体力に自身が無いなあ、とおっしゃる方も、歩くのはちょっと苦手とおっしゃる方も心配ご無用です。どの町にも小さな駅がちゃーんとあるので、疲れたら電車に乗ってしまう、という手もあるのです。

 私も全部歩いてみたかったのですが、妊娠6〜7ヶ月の頃だったので、大事をとって、3つめの町、Cornigliaまで歩いて、そのあと電車に乗ってMonterossoまでたどり着き、そこで日光浴などを楽しみ、帰りは一気にLa Speziaまで電車で、というコースをとりました。海が大好きな私は、この次は子供と家族3人で完歩してみたいなあ、なんて思っています。

 と、まあ、このくらいにしまして、また次回をお楽しみに...Ciao!



著者 渡辺 智春