とくに出典の記述のない記事は、「ハンブルガー・アーベントブラット」紙 www.abendblatt.de からの引用です。


《ハンブルク市、二人の偉大な芸術家を讃える》 97年11月3日

 ハンブルクで生まれたフェリックス・メンデルゾーン-バルトルディと、彼の姉でやはり作曲家であったファニー・ヘンゼルのための記念碑が、市内に建てられた。この碑はこの二人のメンデルスゾーンの没後150年を記念して建てられたもので、聖ミヒャエリス教会の向かいの、彼らが生まれた所にある。

 関係者等の挨拶では、彼の業績が素晴らしいもので、現在にも生き続けていることが強調され、また彼の家系がユダヤ人系であったことが彼の再評価を遅らせたことなどが語られた。ナチス時代には12年間にわたって彼のいかなる音楽も演奏することは禁じられており、教会でも彼の教会音楽が演奏禁止であったという。

 メンデルスゾーンの作品に対してはまだ、モーツァルトのケッヘル、ハイドンのためのホーボーケンのような作品番号がないのは、このナチスによる妨害と、ワーグナーによる汚い策謀によって、彼の研究資料が未だに十分に整わないせいだという。

 さらに、女性作曲家として優秀な才能があったにも関わらず、男性上位の社会で必ずしも正しく認められなかったファニー・ヘンゼルについて、彼女の再評価を求める発表などがあった。



《オラトリオ「パウルス」 ムジークハレで響く》

 彼の没後150年を飾るにふさわしいオラトリオの大作「パウルス」が、ヘルベルト・ブロムシュテット指揮北ドイツ放送交響楽団(NDR)、ミュンヘン放送合唱団によってムジークハレで演奏された。NDRの首席指揮者であるブロムシュテットは、理想的な「楽器」を手中にし、荒々しいダイナミクスと、極めて繊細なニュアンスの両方を実現した。彼には満席のムジークハレの聴衆から、大きな喝采が送られた。
 ソリストは全て素晴らしく、ソプラノが、明るく繊細で、どんどん安定していく声のアンジェラ・マリス・ブラージ、代役として急きょ歌ったメゾソプラノ、ビルギット・カルム、テノールは美声のお手本ライナー・トロースト、並びに表現の強い、豊かな声のバリトン、マティアス・ゲルネ。
 NDRはその抜きんでた金管奏者を揃え、この上演を完璧で確かなものにした。ブロムシュテットは、徹底してメンデルスゾーンの繊細さを強調してはいたが、合わせてその感動的でさえある生命力、劇的効果を演奏の中にもたらした。

 メンデルスゾーンの「エリアス」を聞いたら、ブラームスの「ドイツ・レクイエム」を思わせるロマン的なものを感じた。僕自身は声楽家であるが、メンデルスゾーンの本領はリートというより、オラトリオにあると思っている。日本でももっと彼のオラトリオ、合唱曲が演奏されればよいと思う。


著者 Cantano