

 |
とくに出典の記述のない記事は、「ハンブルガー・アーベントブラット」紙 www.abendblatt.de からの引用です。 |
《デヴィド・ヘルフゴットのドイツツアー》97年5月26日
映画「シャイン」で一躍有名になった、オーストラリア出身のピアニスト、デヴィド・ヘルフゴット氏(注)が、そのドイツツアー第一弾をマンハイムで行った。訪れた2000人の聴衆には、コンサートの始まる直前に演奏プログラムが知らされ、メンデルスゾーン、リスト、ベートーベンの作品が演奏された。
しかし聴衆にとって、その音楽に耳を集中させることは大きな重荷だったようだ。彼は演奏の間じゅう、ぶつぶつひとりごとを言ったり、うめき声を上げたり、またメロディーを大声で、しかも間違って歌うなどして、演奏した。
リストの「ラ・カンパネッラ」では、ヘルフゴット氏は聴衆に向かって親しげにウィンクを送り、自分の音にうっとりと耳を傾けていた。それでも聞き手には十分な満足感があったようで、彼らは4曲のアンコールの後ようやく席を立った。
注:天才的なピアノの才能を持ちながら、神経の病気にかかり、理解ある女性精神科医の診断を長年受け、ようやく復活のきっかけをつかんだ。その精神科医は彼と結婚し、彼女の書いた物語は出版され、映画化された。
映画「シャイン」はわたしもハンブルクで見た。ヘルフゴットのせりふの部分は、ドイツ語の吹き替えはまあまあだったにせよ、あまりの速さであまりよく理解できなかったが、泣けた。ぼくにとっては最近の音楽映画のなかではとても満足いくものだった。
Cantano
《バッハの自筆譜、救われる》4月16日
 |
ベルリンにあるプロイセン文化財産を数多く納めた州立図書館に、この度新しくプロジェクトチームが発足し、酸化とインクの腐食の危機にさらされていた、1万3500点の貴重な文献の保護に乗り出した。
このなかには、バッハのマタイ受難曲やロ短調ミサ曲なども含まれている。これらの自筆譜の修復には、州立図書館の予算をはるかに超えた金額がかかることが予想されているが、図書館は年間100万マルク(約1億3千万円)しか持ち出すことができない。しかし、全体的な酸化防止処置とマイクロフィルムへの撮影には2億マルクがかかる。
大バッハとその息子達の楽譜は、3億8千万マルクの価値があるとみられ、バッハの他にも、モーツァルト、ハイドン、ベートーヴェン、シューマン、メンデルスゾーンの楽譜も修復の対象になっている。
バッハの楽譜にいったい値段なんて付けられるのかしら? |
《北ドイツ放送局NDR付属の演奏団体の縮小計画》5月14日
NDRは現在、放送交響楽団、ラジオ・フィルハーモニー・ハノーファー、放送合唱団、ビック・バンドの4つの演奏組織を持つが、21世紀にはそれぞれが独立した組織へ移行するようになるという。
この改組計画のなかで、放送交響楽団(113名)、ビック・バンド(17名)には人員削減の予定はないものの、合唱団には退職者を補充しない形で、44人から39人への縮小が求められている。『質を落とすことなく、シェイプアップする。ア・カペッラのコンサートが出来れば十分だ』(NDRマネージャー) 規模の大きい作品の上演の際には、より多くの契約団員を使うとのこと。より厳しい状況に追い込まれるのはラジオ・フィルハーモニー・ハノーファーで、85の団員籍のうち8つを削減しなければならない。NDRのマネージャーは『私は4つの全ての組織の運営のために雇われている。ひとつのグループを完全になくしてしまうなんて、私のビール ではない。』
(注:〜 ist nicht mein Bier 私の仕事ではない、知ったことではない、の意)
このプランによって、それぞれの団体のコンサートの企画に関して、芸術的かつ自由な裁量が可能になるというが、演奏団体の規模が縮小されるのは事実。この国もだんだん音楽家に厳しい環境になっていくのか。しかし、合唱団を「ア・カペッラができれば良い」などといったばかげた理由で縮小するなんて考えられない。それでは、オケだって「弦楽4重奏」ができればいいんじゃないの?
お知らせ
すでにお伝えしたように、ライプッヒの聖トーマス教会では2000年のバッハ没後250年に向けて、教会の修復を計画しています。同教会に問い合わせたところ、2000年の7月21日から28日にかけて次のバッハ音楽祭が予定されており、バッハがこの教会のために作曲した全ての作品が、またこの教会で演奏されることができるよう、教会を修繕する必要があるとのことでした。外壁が修理されてから、すでに110年、内装の修理からは35年が経過しており、教会の痛みは、訪れる観光客の目に付くほどのものであるという。
2000年までに集めなければならないお金は1千万マルク(約1億3千万円)。日本のバッハ・ファンからの献金も期待している。
連絡先 Verein Thomaskirche - Bach 2000
Thomaskirchhof 18, D-04109 Leipzig
Tel 0341-9 60 11 79 Fax 0341- 1 23 42 12
献金受付 Bayerische Vereinsbank (BLZ 860 200 86)
Konto-Nr. 67 040 00
《ブラームスの164回目の誕生日》
5月7日、水曜日は、今年没後100年を迎えているブラームスの164回目の誕生日。ハンブルクで生まれたブラームスが洗礼をした聖ミヒャエリス教会で、この町を代表する音楽家が勢揃いしてブラームスの音楽を奏でた。
夜8時からなんと12時まで続いたマラソン・コンサートに出演したのは、聖ミヒャエリス教会合唱団、ルドルフ・ケルバー指揮聖ヤコービ教会ヴォーカル・アンサンブル、北ドイツ放送合唱団、聖ペートリ教会バッハ合唱団、聖カタリーナ教会聖歌隊。ブラームスの全ての宗教曲、それ以外の多くの合唱曲が歌われた。
オルガニストとして登場したのは、作曲家としても活躍するクラウス・バンツァー、ゲルハルト・ディッケル、エバーハルト・ラウアー、そして著名なオルガニストでハンブルク音大教授のヴォルフガング・ツェーラー。
ブラームスの全てのオルガン作品が演奏された。
このコンサートの最大の盛り上がりは、日本でもおなじみのバリトン、アンドレアス・シュミットとルドルフ・ヤンセンのピアノ伴奏による「四つの厳粛な歌」作品121だった。
ちなみに、このコンサートは入場無料でおこなわれた。
《クルト・マズーア、メンデルスゾーン記念館のためにチャリティーコンサート》
ハンブルガー・アーベントブラット5月3、4日
前ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団首席指揮者で同名誉指揮者のクルト・マズーア氏が、5月4日にゲヴァントハウスでチャリティー・コンサートを行う。このマチネの純益は、メンデルスゾーンが住み、またそこで亡くなった家の再建のために贈られる。
国際メンデルスゾーン協会の会長であるマズーア氏は、長くメンデルスゾーンのために尽力してきた。同記念館は、メンデルスゾーンの没後150年にあたる今年11月4日に開館される。


♪フランスの室内楽、独奏曲。Liberte Fraternite Inegalite トロッシンゲン音楽大学にて、10月1日〜5日。講師:Boeke、Husenbeth
(リコーダー)、Brunmayr(トラヴェルソ)、Fernandez(バロックヴァイオリン)、Kirwald(チェンバロ)、Lislevand(リュート)、Pierlot(ガンバ)、Rinaldi(通奏低音)、Unfried(ダンス)、Wistreich(声楽)
Staatliche Hocjschule f殲 Musik Trossingen, Tel 07425-9491 50, Fax 9491 49


《ライプツィヒ フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ 音楽祭》
97年10月31日から11月4日まで 会場:ゲヴァントハウス
月日 |
開演 |
演目 |
10.31 |
20:00 |
オープニングコンサート クルト・マズア指揮ゲヴァントハウス・オーケストラ
メンデルスゾーンの作品 |
11.01 |
20:00 |
ヘルベルト・ブロムシュテット指揮北ドイツ放送交響楽団・合唱団
オラトリオ「パウルス」 |
11.02 |
11:00 |
(小ホール)林達次指揮京都ゲヴァントハウス合唱団
メンデルスゾーン、ブラームス、日本の合唱曲 |
|
20:00 |
ロルフ・ロイター指揮「フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ」
ライプツィヒ音楽大学オーケストラ・合唱団
ソフォクレスの劇のための付随音楽「アンティゴネ」 |
11.03 |
20:00 |
ハインリッヒ・シフ指揮イスラエル室内オーケストラ
メンデルスゾーン、モーツァルトの作品 |
11.04 |
20:00 |
クルト・マズア指揮ゲヴァントハウス・オーケストラ、バーミンガム市合唱団
オラトリオ「エリアス」英語上演 |
|