留学について 第3回


 
前回書いた中で、「芸術家資格Kuenstlerische Reifepruefung」という言葉を使いましたが、最近私の大学の学部長と話す機会があって、そのなかで「Diplomディプローム」と「Kuenstlerische Reifepruefung芸術家資格」の違いについてくわしい説明を受けたので、ここでも若干補足しておきたいと思います。

 ディプロームも芸術家資格も、同じ学年に入った学生が、同じことをやって、卒業試験で取るものであることに変わりはありません。ただ、芸術家資格が戦前から変わっていないドイツの大学のカリキュラム基準にのっとって行われる試験であり、古いものであるのに対して、ディプロームは近年新しく整備された単位取得に関する規則に従って設定されているものです。

左上 成功する留学、ダイヤモンド社 
右上 ドイツ生活辞典、白馬出版
左下 ドイツ会話と暮らしのハンドブック、三修社
右下 暮らしの情報誌「Ach soあっそう」

これらは大変役に立ったが、新しいものでなくてはかえって誤解を生むかもしれないので、あまり古い本なら買わない方が無難かも。

そのなかで「あっそう」は毎年情報が刷新されるのでおすすめ。
注文は直接著者Mieko Fischさんまで
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 芸術家資格はふつうの場合、専攻した主科のみを評価の対象にしているのに対して、ディプロームはその学生が取得した科目全体に対しての評価であるという違いがあるそうです。科目全体とはいっても、日本から来る留学生は日本で取得した単位がほとんど認められるので、実際には主専攻だけやれば良いということになります。つまり、同じことを勉強しても学校によってディプロームが取れたり、芸術家資格しか取れなかったりすることが起こるのです。ディプロームのほうが価値があるものであることには間違いがありませんが、演奏家にとってもっとも大事なものは主専攻たる楽器、もしくは声楽の成績ですから、就職時や、さらなる学校(学部)への進学時には、持っている卒業証書の種類によって差別されることは無いそうです。

実際、ドイツの音楽大学の中には、芸術家資格Kuenstlerische Reifepruefungを出している学校はまだたくさんあります。学部長の話では、それは学校の方の問題ではなく、州の文化省と文化関係議員の仕事なのだそうです。政治の話し、つまり「お金」次第ということでしょう。
 独以外の国々ではシステムが違うため、2〜3年留学した人たちが主専攻の単位取得だけでディプローム(ディプロマ)を難なく取って帰国するので、われわれとしてはなんだかおもしろくないのですが、まあ仕方がありませんね。


コンタクトの取り方

 さて、話しは飛びますが、ドイツの教授または学校とのコンタクトの取り方について。ドイツという国は、基本的に節約を旨とするところで、はっきり言えばケチで、こちらが『航空便で』と頼んでも、返事が船便で来たりします。電話が出来ればいいのですが、私などはそんな勇気はとてもありませんでした。郵便でやりとりする人は少しでも物事が上手く行くように次のことに気を付けて下さい。

1 国際返信用切手を同封すること。この切手はたいていの普通の郵便局で買えます。何年か前までは、一枚170円でした。もう値上げしているとは思いますが。

2『Luftpost航空便で返信して』と念を押すこと。

3 時間が差し迫っているときは、EMS(記憶違いじゃなければExpress Mailing  Service)を迷わず利用すること。この郵便局の「国際エクスプレスメール」は、もっとも速い郵便サービスです。高いですが。メッセージを送るだけならもっと速い方法がありますが、郵便サービス情報の専門家ではないので、ここでは省略します。


ヴィザについて

 日本人がドイツに勉強に来るためには滞在許可証Visumヴィザが必要です。これはStudentenvisum学生ヴィザなどと呼ばれるもので、ドイツ大使館で手続きします。この時必要なのは、ドイツの音楽大学や教授とちゃんとコンタクトを取っている証明として手紙や入学試験の願書(のコピー)などを提出することです。これは一筋縄では行かないことが多いのですが、留学に関わる面倒な手続きの中ではそれほど苦になる部類には入りません。なんといっても日本人の担当官が応対してくれるのですから。必要なものを揃えて、担当の方のお知恵にすがれば、たいてい上手く行きます。

 こうして苦労の後にやっと手に入れる学生ヴィザですが、どうやっても3カ月分のものしか出してもらえません。入学試験に合格した後、現地で延長しなければならないのです。「なんだ、たった3カ月しかもらえないんだったら、観光ヴィザの3カ月でドイツ入りしても同じことじゃん」と思われるかもしれませんが、この学生ヴィザは絶対に日本にいるときに取得して行かなくてはいけません。ドイツ国内において、観光ヴィザから学生ヴィザへの変更は不可能だからです。
 この手続きがどうしても上手くいかなかったら、入試を受けるためだけに一度ドイツまで往復しなくてはなりませんが、できればそういう無駄は避けたいものです。


お金

 
最近留学生の間で人気のある銀行はCitiBankシティバンクです。スペルはCiti です。この銀行のいいところは、日本で作ったキャッシュカード(またはVisaなどクレジット機能を付けたカード)がドイツでそのまま使え、現地通貨を引き出せることです。もちろんドイツには多くの日本の銀行が進出していますが、このようなオンラインサービスをやってくれる銀行は一つとしてありません。ただ同じ銀行間での送金に関してはいろいろ便宜を図ってくれます。

 シティバンクはしかし、ある一定の預金高が無いと、欧米の銀行にならって「口座維持手数料」を要求します。たしか月平均30万円以上の預金があれば、維持料免除だったような覚えがあります。まったくあつかましい!でもシティバンクは現在、世界の主要な国にネットを広げているので、おすすめできる選択肢ではあります。

 しかし一番安い日本からの送金方法は、郵便局を使ってのものです。日本とドイツではすでに協定が結ばれていますので、両国の郵便局を通して送金すると、送金手数料がわずか400円ですみますし(さらに最近その手順が簡素化されました)、返還レートもシティバンクよりもずっと良いものです。シティバンクでは、現金を現地通貨にするほど交換率は悪くありませんが、目減りすることは間違いありません。ドイツ郵便局PostBankは銀行と同じことが望める使い勝手の良い金融期間ですが、銀行そのものではないため、たとえば独以外の国へ送金することが出来ません。外国へ講習会に行くときの送金、楽器の購入のときなど不便を感じるかもしれません。もっとも近い将来はEUの郵便局として何もかも統一されるでしょうが・・・。

結局、現時点では郵便局以外にもうひとつドイツの銀行に口座を作るのがベストのようです。ちなみにほとんどのドイツの銀行はやはり口座維持手数料を取りますが、学生証を提示すれば数年間はそれが免除されます。


Cantano


 次回は、保険や、住居についてのお話をします。質問はCantanoまで。